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2026年05月30日
労務
by Rachana Samsak Ratana Som

仲裁評議会に関する労働省令

労働職業訓練省(MLVT)は、2026年4月13日付で仲裁評議会(Arbitration Council)に関する労働省令第098号を発出しました。
同省令は、カンボジアにおける労働紛争解決の専門機関である仲裁評議会の構成、運営及び手続に関する枠組みを更新するものであり、これにより従来の2004年4月21日付省令第208号は廃止されます。

仲裁評議会の構成
仲裁評議会は最低30名の評議員で構成されます。
評議員の任期は1年で、労働職業訓練大臣によって毎年任命され、再任が可能です。
評議員は、①MLVTが推薦する者、②使用者側職業団体が推薦する者、及び、③労働者側職業団体が推薦する者から全体の3分の1ずつを占めます。

仲裁パネルの構成
各労働紛争は、仲裁評議会の評議員から選出された3名で構成される専門の仲裁パネルにより解決されます。
その3名の構成は、使用者側が選任する1名、労働者・組合側が選任する1名、そして、MLVT推薦の評議員から他の2名の合意によって選任される議長1名とされています。使用者側・労働者側の仲裁人2名が議長の選任について合意できない場合、仲裁評議会の事務局がMLVT推薦の評議員の中から抽選によって議長を選任します。また、紛争当事者が自らが選任すべき仲裁人について合意できない場合にも、事務局が抽選によって当該仲裁人を選任します。
仲裁パネルが下した裁定は、仲裁評議会の裁定とみなされます。

管轄
仲裁パネルは、労働法第309条に従い、労働監督官または調停官による調停が不調に終わった後に付託された個別的紛争及び集団的労働紛争について裁定を行います。パネルの権限は、不調報告書に記載された争点に限定されます。
また、パネルは、労働法及び同省令の範囲内で、解雇された労働者の復職、未払金の即時支払い、ストライキ・ロックアウトの即時停止、違法行為の停止、適切な損害賠償等の救済を命じることができます。

仲裁手続
手続の使用言語はクメール語であり、クメール語以外の言語を使用する当事者またはクメール語を話さない証人がいる当事者は、有資格の通訳を手配する必要があります。
手続の進行中、当事者はストライキ・ロックアウト等の争議行為を停止しなければなりません。
仲裁パネルは、企業の経済状況及び労働者の社会的状況を調査し、証拠の許容性・証明力を判断し、証人を尋問する広範な権限を有します。
仲裁パネルのメンバーは守秘義務を負い、公平性・独立性に疑義がある場合には回避しなければならないとされています。

拘束的裁定と非拘束的裁定
本省令は、拘束的裁定(binding award)と非拘束的裁定(non-binding award)の2種類の仲裁裁定を定めています。
拘束的裁定は確定後、直ちに履行されなければなりません。他方、非拘束的裁定については、各当事者は、裁定の通知受領後8暦日以内に、郵便その他認められた方法によって労働職業訓練大臣に異議を申し立てることができます。異議が申し立てられた場合、当該裁定は執行できず、権利に関する紛争である場合には、当事者は最終的解決のため管轄裁判所に提訴することができます。当該期間内に異議が申し立てられない場合、非拘束的裁定は確定することになります。なお、当事者が通知前に異議を申し立てない旨を書面で合意している場合、または、異議を申し立てない旨を定める労働協約に拘束されている場合には、この異議申立ての仕組みは適用されません。

執行
当事者が確定裁定に従わない場合、相手方当事者は管轄裁判所に対し仲裁裁定の執行命令を申請することができます。
確定裁定は、限定的な事由(仲裁人の選任手続・仲裁手続への当事者の関与の不備、労働法に定める裁定発行手続の不遵守、または労働法が付与する権限を超える裁定等)がある場合に限り、裁判所により拒絶される可能性があります。

経過措置
第一段階目として、仲裁パネルは、労働組合法に基づく特別な保護を受ける個人に関連する権利についての個別的紛争を解決します。
仲裁パネルによるその他の個別紛争の解決については、労働職業訓練大臣の追って定める決定により規律されます。