- 2026年09月18日
- 税務
年次財務諸表の提出及び独立監査に関する新省令
非銀行金融サービス庁(NBFSA)は、会計監査規制機関(ACAR)を通じて、2026年8月18日付で年次財務諸表の提出義務及び独立監査のための財務諸表提出義務に関する省令第063号(以下、「本省令」)を発出し、2020年7月10日付省令第563号(以下、「旧省令」)を置き換えました。
ACARは、本省令に続き、2026年8月26日付で実施通知第033号を発出しています。
背景
カンボジアにおける財務諸表の提出義務は、2016年会計監査法を根拠とし、従来、独立監査の要否については旧省令が、監査対象外の企業を含むすべての企業の年次財務諸表提出義務については2022年1月27日付指令第002号が、それぞれ規律していました。
本省令は、これら2つの規律を一本化し、独立監査の義務と年次財務諸表の提出義務の双方を対象とする包括的な枠組みを設けるとともに、監査基準額の改定、免除制度の明文化、及び違反に対する行政制裁の体系を導入するものです。
提出期限
年次財務諸表は、ACARの電子申告システムを通じて提出します。監査対象外の企業は会計年度終了後3ヶ月と20日以内(暦年決算の場合は4月20日までに)、監査対象の企業は会計年度終了後6ヶ月と20日以内(暦年決算の場合は7月20日までに)に財務諸表を提出する必要があります(本省令第6条)。旧省令の下では15日とされていましたが、本省令により20日に延長されました。
監査対象の企業については、監査法人による監査意見を決算日から6ヶ月以内に入手することが求められます。
規模を問わず監査が義務付けられる事業体
旧省令の下では、規模を問わない監査義務は公営企業、公共の利害に関係する事業体及び適格投資プロジェクト(QIP)に限られていました。
本省令は、この範囲を以下のとおり拡大しています。
– 公営企業及び公共の利害に関係する事業体(上場会社、銀行、マイクロファイナンス預金取扱機関、保険会社、証券会社、投資信託等)
– 適格投資プロジェクト(QIP)
– 外国会社の支店(新規)
– カジノ事業者(新規)
– 年間売上高80億リエル(約200万米ドル)以上の住宅・商業建物の開発事業者(不動産・抵当規制機関その他所管当局のライセンスを有するもの)(新規)
規模基準による監査義務
本省令は、3つの基準のうち2つ以上を満たす場合に監査を要するという「2 out of 3」テストを維持しつつ、基準額を引き上げ、売上高基準については初めて業種別の区分を導入しました。
基準 1:年間売上高
従来:40億リエル(約100万米ドル)以上
新基準:商業 200億リエル(約500万米ドル)以上/製造業 300億リエル(約750万米ドル)以上/サービス業 80億リエル(約200万米ドル)以上
基準 2:総資産
従来:30億リエル(約75万米ドル)以上
新基準:期末時点で100億リエル(約250万米ドル)以上
基準 3:従業員数
年間平均100名以上(変更なし)
基準を下回る事業体の継続適用
旧省令の下では、一度監査を受けた事業体は、その後基準を満たさなくなった場合でも、少なくとも3会計年度連続して監査済財務諸表を提出する義務を負っていました。本省令では、この3年間の継続義務は、年間売上高が50億リエル(約125万米ドル)以上である場合に限り適用されることとされました。
非営利団体(NPO)の監査要件
旧省令の下では、NPOは年間総支出20億リエル超かつ平均従業員20名以上の双方を満たす場合に監査を要するとされていました。本省令は、これをプロジェクト単位と組織単位の2つの独立した基準に分け、いずれかを満たす場合に監査を要するものとしています。
– 個別プロジェクト:総費用が20億リエル(約50万米ドル)を超えるプロジェクト
– 組織全体の運営:年間総支出が30億リエル(約75万米ドル)を超え(監査対象のプロジェクト費用を除く)、かつ年間平均20名以上の従業員を雇用する場合
NPOのプロジェクトについては監査の頻度に関する規定も新設され、期間18ヶ月以下のプロジェクトは1回の独立監査で足り、18ヶ月を超えるプロジェクトは12ヶ月ごとの監査を要します。
免除申請及び届出
本省令は、免除制度を初めて省令本体に明文化しました。
企業による免除申請:業種又は規模により監査対象となる企業は、直近の監査済会計年度の後12ヶ月連続して事業活動を行っていない場合、又は一般基準を満たさなくなり売上高が50億リエル(約125万米ドル)未満となった場合、ACARに対して監査免除を申請することができます。免除申請は、会計期間終了日から30日以内に、所定の公共サービス手数料とともに提出する必要があります。
NPOによる届出:監査基準を満たさなくなったNPOは、会計期間終了日から30日以内に、書面によりACARに届け出る必要があります。
提出遅延に対する行政制裁
旧省令が罰則について2020年6月1日付政令第79号を参照するにとどめていたのに対し、本省令は具体的な金銭的制裁を定めています。
財務報告識別番号を既に取得している非監査対象事業体が年次財務諸表の提出を遅延した場合の罰則は、以下のとおりです。
– 企業:月額200万リエル(約500米ドル)、1会計年度あたりの上限1,200万リエル(約3,000米ドル)
– NPO:月額120万リエル(約300米ドル)、1会計年度あたりの上限720万リエル(約1,800米ドル)
罰金は通知の受領から30日以内に納付する必要があります。30日以内に納付しない場合は2倍、60日を超える場合は3倍となります。90日を超えて未納の場合、ACARは、督促状の発出、事業体の所有者又は代表者の召喚、他省庁への執行要請、裁判所又は検察官を通じた手続の開始等、直接的な執行措置を講じることができるとされています。
発効及び経過措置
従前の枠組みの下での監査対象・非監査対象事業体の財務諸表提出義務は、本省令の署名日(2026年8月18日)から引き続き効力を有します。第8条から第11条に定める改定後の独立監査義務は、2026会計年度以降について適用されます。
旧省令に基づいて発出された既存のガイドラインは、これに代わる規則が発出されるまでは効力を有します。